オーナー様への手紙②:「測量」が生む安心と未来への投資
今回は皆様が所有されている大切な資産、**「土地」についてお話ししたいと思います。特に、「生前における敷地測量の重要性」**に焦点を当てて深掘りしてまいります。一見地味な話に聞こえるかもしれませんが、実はこれ、将来の皆様、そして次世代の皆様の「安心」と「資産価値」を守る上で、非常に重要なことなのです。
測量なのか?:知られざる土地の境界問題
土地の測量と聞くと、新しく家を建てる時や、売買する時だけのもの、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ご自身の土地の境界を正確に把握されていますでしょうか?実は、長年放置されてきた土地の境界が原因で、思わぬトラブルに発展するケースが少なくありません。
例えば、ご近所とのちょっとしたフェンスの位置や、隣接する土地との境界線が曖昧なために、将来的に「この土地は誰のものか」という争いに発展することがあります。特に、古くから所有されている土地の場合、昔作られた古い測量図しか残っておらず、それが現在の土地の形状と合致しない、ということも珍しくありません。
「昔からの慣習だから大丈夫だろう」、そう思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、残念ながら、法的な根拠のない「慣習」は、いざという時に通用しません。実際に、境界が不明確であるために、隣人との間で泥沼の裁判に発展したり、最悪の場合、解決までに多大な時間と費用を要し、精神的な負担も計り知れない、といった事例を耳にします。
次世代への「負の遺産」を残さないために
今回一番お伝えしたい事です。測量をせずに現状を放置することは、ご自身だけの問題に留まりません。それは、次世代へと「負の遺産」を残すことになりかねない、ということを強くお伝えしたいのです。
想像してみてください。大切なご家族に相続する際、土地の境界が不明確だったとしたらどうなるでしょうか。相続された方々は、まずその境界の確認から始めなければなりません。測量には費用はもちろん時間、そして原則として「隣地の方の署名捺印」が必要です。隣地の方の署名捺印がもらうことに苦労することはよくあります。隣地所有者が行方不明であったり外国にいたり、もともと仲が悪いなど、測量がなかなかできないことはよくあります。実務上、土地を売却するときはこの確定測量登記がないと売却は難しい場合があります(買主も4境界が不明な土地は購入ができません)。
特に、近年増えているのが、「空き家問題」と境界の曖昧さが結びつくケースです。所有者が不明になったり、相続人が複数いる中で意見がまとまらず、空き家が放置される。そして、その空き家の境界が曖昧であるがゆえに、隣接する土地所有者との間でトラブルが生じ、誰も手を出せない「負のスパイラル」に陥ってしまうのです。
私が長年、不動産業に携わる中で見てきたのは、ほんの少しの費用と手間で未然に防げたはずのトラブルが、結果的に莫大な費用と時間を要し、人間関係までをも破壊してしまうという悲しい現実です。生前にしっかりと測量を行い、境界を明確にしておくことは、ご自身の安心はもちろんのこと、残された大切なご家族への何よりの「安心」という名のプレゼントになるのです。
大事なことはただ測量をすればいいということではありません。
最も一般的な「確定測量」は、隣接地の所有者との間で境界を確定させる測量であり、専門的な知識と隣人との調整能力が求められます。
私も過去には数十回の境界確認に立ち合いました。しかし、世の中の境界とは問題だらけです。土地と土地とは必ずしも境界線上にきれいに分かれていることはあまりありません。測量するとこんなことがよくあります。
・一方の塀が越境している、また壊れて今にも倒壊しそう
・雨どいの越境、植栽の越境、電線の越境
・土地の高低差がありどちらかの塀が隣地の土留めになっている
・地中の基礎の越境がみられる
・測量後、解体を予定しているが隣地の方の協力が必要
と実に様々な問題やリスクを抱えています。
測量士というのは境界確定するのが仕事です。越境うんぬんに関して言及する測量士はあまりいません(もちろん全員ではありません。いろいろなアドバイスをされる測量士もいます)。
いくら境界確定したといっても上記のような状態では将来的なリスクにつながります。私たちは現状を確認して越境解消の交渉や将来撤去の覚書を交わすようなご提案をしています。これまで培ってきた不動産に関する専門知識と、信頼できる測量士とのネットワークを活かし、皆様の測量に関するご相談にもきめ細やかに対応させていただきます。測量士は、土地家屋調査士という国家資格を持つ専門家であり、その作業は非常に専門的かつ高度な知識を要します。測量士に依頼すれば良いのか、費用はどのくらいかかるのか、といったご相談にも丁寧にお答えいたします。
私たちが目指すのは、単に不動産の売買や賃貸を仲介するだけでなく、オーナー様の資産価値を最大化し、将来にわたる安心を提供することです。そのために、日々の情報収集はもちろんのこと、不動産に関する多岐にわたる専門知識を深く掘り下げ、皆様に還元できるよう常に研鑽を積んでおります。
大切な資産である土地を守り、次世代へとスムーズに引き継ぐために、生前からの測量をご検討されてはいかがでしょうか。ご自身の安心と、ご家族の未来のために、今できる最善の選択をしていただきたいと思います。
ご不明な点や、測量に関するご相談がございましたら、いつでもお気軽にお問い合わせください。オーナーの皆様からのご連絡を心よりお待ちしております。